ブリーディング(交配)〜出産まで

【まえがき】
「○○ちゃんの子供が見たい!」と、思う事もあるでしょう。
でも安易な考えでブリーデイングをする事は、弊害を伴う事もあります。
せっかくカワイイ赤ちゃんを産ますのであれば、健康で丈夫がイチバン!
その為には、シーズーのスタンダード(標準)を理解し
血統書や系統などの基本的な事は、わかっていたほうが良いと思います。
ここでは基本的なブリーディング法から出産までを
わかりやすく説明したいと思います。


【ブリーディングの方法】
基本的には3つのブリーディング方法があります。
インブリード 兄弟や親子などの同じ遺伝子を持つ近親交配
良い遺伝子を濃くする反面、悪い因子も強くする事になります。
血量が濃くなる為、不受胎や体質が弱い仔が産まれる事があります。
アウトブリード 系統や血統が全く異なる同士の交配
産まれて来る子犬がどのようなものなのか予測する事ができず
思いがけない子犬が産まれる事があるので、お薦めできません。
ブリーダー等が血液の行き詰まりを感じた時などに行う方法です。
ラインブリード 近すぎない同系統同士の交配
種オス
台メスの父をさかのぼり同系統のオスを持つもの同士。
体質的に弱くなる事や弊害が少なく一般的なブリーディング法です。
*ラインブリードに関連して*
ただし、同系統の両親に同系統の種オスでブリーディングを繰返して行く事は
弊害が出る事があります。

【台メスについて】
台メスとは繁殖に使う為のメス犬の事です。
どんなメス犬でも台メスとは限りません。
体質が弱かったり、骨格構成上に問題があったり
また血液が濃くなりすぎている場合
台メスとして繁殖するのは避けたほうが良いでしょう。
また、飼い主の甘やかし過ぎや性格的にシャイ(臆病)なメスの場合
子育てを放棄する可能性もあるのでやはり避けたほうが良いと思われます

【交配適期】
メス犬の場合生後7〜8ヶ月経つと、最初の発情(生理)が来ます。
しかし最初の発情での交配は
人間の歳に換算しても10〜11歳とまだ若いので避けるべきでしょう。
JKCジャパンケネルクラブでも生後9ヶ月1日以上経っていなければ
交配証明書・血統書の申請等を受理しません。

そして出血が見られ、陰部が大きくピンク色になります。
その後だいたい7〜8ヶ月の周期で発情が来る事となります。
この発情期の間が交配する時です。
最初の出血を見た日から11〜13日頃になるとメスがオスを許容する時期が来ます。
その時が交配鏑期となります。この間に1〜3回程度交配するのが良いでしょう。
交配をお願いする場合、出血を見た時にオス側へ連絡をし
現在のメスの状況を説明し
その時に交配料や受胎しなかった場合などの決め事もしておいた方が良いでしょう。

【妊娠期間】
通常63日で産まれます。しかし1週間程度のバラツキがあることもあります。
これは、交配適期が来てから1週間程度オスを許容する時期があり
この間に交配をしたどの時期の精子にも受胎する可能性があります。
ですから、2〜3回交配をしたならばすべての交配日をメモしておくのが良いでしょう。

【妊娠診断】
交配後数日経つと、受胎しているしていないに関係無く
つわりのような状態になる事があります。
また食事も変則的になったり好き嫌いが出る場合もあります。
しかし、これは受胎したかどうかの絶対の判断にはなりません。
なぜならば、想像妊娠をする事も多い為です。
受胎した場合、乳首がピンク色になり若干大きくもなります。
陰部が発情期よりは小さくなりますが、全体にふっくらとした感じのままでいます。
そして25〜30日ほど経過したときには
触診でわかる事も多いので獣医さんに診てもらうのも良いでしょう。
しかしそれを過ぎると子宮がやわらかく大きくなる為
逆に触診ではわかりずらくなります。
そして、出産予定日が近くなるとレントゲンや超音波での診断も可能です。
特に超音波での診断は胎児への影響が無くお薦めです。
そして妊娠が確認できたら、乳首の周囲の毛もカットしておいてあげましょう。
これはオッパイを吸いやすくする為です。

【出産準備】
出産が近くなると暗い場所を求め
物陰に隠れてしまったり巣作り(穴掘り)行動をするようになります。
しかしこの行動ですぐに産まれるとは限りません。
でもこの動作がみられた時には、準備を整えておく必要があります。
サークル・
タオル類・新聞(出産時周囲に敷きます)・洗面器(産湯に使います)
そして、
箱(ダンボール等)を作ります。
必要に応じてヒーターなども準備します。(作り方は
こちら

またシーズーの場合、歯の噛み合わせが下アゴが出ているアンダーショットの為
上手にへその緒を噛み切れず腹膜等に損傷を与えてしまう事もあるので
ハサミ・糸も用意しておきましょう。紺子(カンシ)もできれば用意しましょう。

【出産】
出産間際になると、落ち着きが無くなり呼吸も乱れ身震いが始まります。
これは母犬の体温が下がる為です。
その時に体温を測ると37℃以下になっているはずです。
更におしっこの回数が増えたり便がやわらかくなったりします。陣痛の始まりです。
陣痛は少しずつ間隔が短くなり
子犬が産道に入ってくると母犬は痛さから泣き声を上げたりしますので
安心するようにお腹をさすったり声をかけて励ましてあげて下さい。
やがて、破水し陰部に黒っぽいものが見えてくるはずです。
そして強い陣痛とともに黒っぽい袋状のもの(羊膜)に包まれた子犬が産まれます。
しかし、へその緒の先についている胎盤が膣内に残っていますので
母犬が引っ張り出そうとします。
その時、様子を見て引っ張り出せないようであれば
紺子やすべらないようガーゼなどで、へその緒を静かに引っ張ってあげましょう。
もしも、途中で切れてしまっても次の陣痛で出てくる事が多いようです。
胎盤は母犬が食べようとしますが
無理に食べさせる必要は無いので処理しても構いません。
敏速に羊膜を破り口や鼻の汚れを拭き取り
背中のほうをマッサージするようにタオルで羊水を拭きとってあげて下さい。
これは、呼吸をうながす効果もあります。
もしも羊水が詰まって呼吸が乱れているようでしたら
子犬の鼻先を外側にして、右手背中のほうから中指と人差し指で鼻先近辺を保持し
左手で腹部を保持し、
大きく振り遠心力を利用して羊水を出して下さい。
この時腹部を圧迫し過ぎたり、振り落とさないないように充分気を付けて下さい。
次にへその緒を切ります。
お腹から5〜10mmのところを糸で縛りその外側をハサミで切ります。
へその緒は長く残しても構いませんが
母犬が気にする事があるのでその時は切り詰めます。
産湯で身体のヌメリを取ります。
産湯の温度は熱すぎないよう手を入れ確認して下さい。
だいたい42℃くらいで良いと思います。
そしてこの時に子犬の体重を計っておくことをお薦めします。
シーズーの場合150g〜200gあれば平均でしょう
その後も体重の変化をメモしておくことで
母乳をしっかり飲んでいるか、健康状態など一目で分かるので便利です。
子犬の水気をタオルでマッサージするように拭き取っていると
元気な鳴き声が聞こえてくると思います。
次の陣痛まで母犬と一緒にしてあげたほうが良いでしょう。
30分〜1時間経つと、次の陣痛が始まります。
すべてのお産が終わったら、作った箱の中に子犬を入れてあげて下さい。
この時事前にヒーターを入れ暖めておいたほうが良いでしょう。
特に生後間もない子犬は、体温調整が自分では上手くできないので
温度調整に気を付けてあげて下さい。

上記はスムースにお産ができた場合ですが、難産のこともあります。
ここでは紹介していませんが、後にアップ予定ですので参考にして下さい。
また、係りつけの獣医さんとも連携しておくとイザという時に助かります。

それでは!健康でカワイイ赤ちゃんが産まれる事を楽しみにしてマス♪